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 お神さんの顔をみると、また、みんながおしげとおなじようなことをいった。 「いえ、いいの」  それから、ちょっとのれんの外に戻って、目立たないように、ざッと、客の頭数をかぞえる。  この頃、講談の昼席はだいたい三十人見当だが、でも、ありがたいもので、日曜の昼席には目にみえて客がふえてきた。第一と第三がとくによく、八十から百《いつそく》、第二と第四が六十から八十であろうか。  ついこの間までのことを考えると、嘘のような数字の上がり方である。  おひでの、講談をなんとかしようという真剣な気合いが、少しばかり通じてきたといっていいだろう。  客種は昼の講談と、夜の席貸しの客とでは、みんな、そのやるもので違ってくる。  新内の客にはやっぱり粋なひとが多く、本牧亭にはめずらしく芸者なんかもくる。中年の女のひとがいちばん多くって、わざと無造作に髪をひッつめにして、珊瑚のかんざしを一本、ひょいとさしたりしたのが、たいてい、目をつぶって、てんぷらくいたい、てんぷらくいたいという新内のメロディーにききほれている。  小手《こて》のところまで、いっぱいに、くりから紋々のいれずみをした鳶職の客も、新内には多い。  浪曲は中年が多く、男と女と、まず、半々であろうか。  義太夫の客が、いちばん、としよりが多い。  この頃、本牧亭では講談の、いわゆる夜講《やこう》もはじめたが、講談だと思って、夜、やってきた若い客が、女義太夫の会だと知って帰ろうとするのを、おしげが、 「おもしろいんですよ、女義太夫ッて」  それで入って、帰りがけに、こんなことをいった。 「今夜は養老院の買い切りかい?」  中入りに、客席を売って歩く品ものの、いちばんたくさん売れるのは新内である。  二十円の、自慢のかきもちなんか、帰りにおみやげに買っていくひとも多い。さっぱりと、かるく、東京風なかきもちである。  いちばん売れないのがまた義太夫の客ときている。
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