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「いったい、誰がそんなこと言ってるんですか?」 「あの、社内の噂っていうか」 「矢島久美、でしょう」  おれが言うと、「はあ」とうなずいた。 「こっちとしては、もういいかげんにして欲しいと思ってるんですよ」  おれは立ち上がって喚《わめ》いた。 「聞かないほうがいいですよ、あんな女の言うこと。だいたい、あいつ、まともじゃないんですよ。おかげでこっちは、大いに迷惑してるんだ。以前にあの女と石室の間に何があったのか知らないけど——。ちょっとおかしくなってるんじゃないですかね、頭が。石室が死んだショックか何かが原因で」 「あ」  黒田は口を半開きにしたまま、放心したようにしばらく静止していた。 「そうだったんですか」 「そうだったんですよ。わかりましたか。わかったらもうこれ以上、仕事の邪魔はしないで貰《もら》えませんか」 「いやいやいやいや」  大げさに首を左右に動かした。 「もちろん、そんなことはいたしません。ただ、ですね」  そこでわざとらしく手帳を開いてみせる。 「私のほうも仕事上、どうしてもお尋ねしておかなければならないことがあるんですね。まあそのままで結構ですから、聞くだけ聞いていただけますか」  顔をマシンのなかに突き出して、おれの頭越しに画面を覗《のぞ》き込んできた。こんなやつには、どうせ注意しても無駄だろう。うっかりしたふりをして、こういう見え透いたことを何度でも繰り返すのだ。安手のテレビドラマみたいに。どうやらこいつは、そういうキャラクターらしいな。 「ほら、このあいだ、写真、お見せしましたよねえ——」
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